2017年7月19日(水)、在シンガポール日本国大使館が運営する「Japan Creative Centre」において、石川県の伝統工芸品展示会の前夜祭が開催されました。
当日は、在シンガポール日本国大使館の篠田研次大使と石川県の谷本正憲知事、石川県の事業者の皆さんに加え、シンガポールで日本の伝統工芸品を取り扱っている事業者や芸術関係者等の多くのシンガポール人も参加し、大いに賑わいました。会場に展示された石川県の伝統工芸品に高い関心が寄せられ、また、石川県の食材を使った料理や日本酒などを嗜んでいました。その他にも、芸妓さんによる舞の披露や赤絵細描の職人さんによるネイル体験も行われ、石川県の多様な文化や歴史の一端が垣間見える夜となりました。
さらに、今回の展示会には、伝統工芸品とアクセサリーやスマートフォンケースとの融合といった作品も展示されており、日用品に「デザイン」という視点を加える伝統工芸の新たな展開も見ることができました。歴史を積み重ねきた石川県伝統工芸の分野における様々なチャレンジとシンガポールでの反応は、今後、地元の伝統工芸品の海外展開を考える上でも大いに参考になることでしょう。
2017年7月20日(木)、シンガポール中心部のホテル「マンダリン・オーチャード・シンガポール」内において石川県産品の試食商談会が開催されました。このビジネス商談会は、2016年8月に石川県と株式会社北國銀行との間で、産業や観光、少子化対策など11の分野で相互に連携を図ることを目的とした「連携と協力に関する包括協定」が交わされたことをきっかけに、その協定事業の一環としてシンガポールで開催されたものです。
当日は、現地商社やレストラン・ホテルのバイヤーなどを対象に石川県の谷本正憲知事がトップセールスを実施しました。その後、石川県の日本酒や郷土料理、石川県産品を使用した様々なメニューが振る舞われ、参加者はシンガポールでは珍しい石川県の食に舌鼓を打ちました。中でも、やはり日本酒の人気が高く、どの日本酒のブースも試飲をする人で溢れていました。
来場者の多くは日本食レストランの方であり、自分の舌で味を確かめ、気に入った商品がある場合に名刺交換をしている様子があちこちで見られました。また、来場者からは、商品の品質保持や輸送の方法に関する質問が多く、鮮度の保持に気を遣っていることが伝わってきました。この点について、出展していた運送会社の話によると、小松空港からの空輸を利用すると、朝、競りにかけられた商品をその日の夜にはシンガポールに届けることができるそうです。能登の新鮮な食材がその日のうちに届くのは、日本食レストランにとっては大変魅力的といえるでしょう。
出展した企業は、現地のバイヤーとパイプを作ることを目的に、また、来場者は、石川県の食材を利用してよりよいメニューを提供したいという思いのもとに、双方、積極的にかつ真剣に話をしており、会場は非常に賑わっていました。このイベントをきっかけに、石川県の商品がシンガポールでさらに取り扱われることが期待されます。
石川県は2016年7月にも北國銀行との共催で同種の商談会を開催しました。県の担当者によれば、2度目の開催となった今回の商談会には、昨年に比べ来場者がかなり増えたとのことです。また、昨年度に引き続いて出展した企業の中には、「昨年度出展して以降、多くの問い合わせがあった。それがきっかけで、現地のディストリビューターと輸送コスト等について話し合いをし、やっと今年進出の目途が立った。」と話をする方もいました。
県産品の海外への販路拡大にあたっては、こうした「継続的な取り組み」が必要不可欠と言えます。