日本とASEANがパスをつなぐ

「ワールドカップでシンガポールが快進撃!」、「ヨーロッパのビッグクラブにタイの選手が電撃移籍!」こんな記事がメディアで頻繁に載ることも、それ程遠い未来ではないかもしれません。そしてそれに日本が貢献しているとすれば、日本人選手以外の活躍でも嬉しい気持ちになれるはずです。

シンガポールでは、世界中のサッカーの試合がテレビで多く放送されていたり、他のASEAN諸国でもヨーロッパの有名なチームのユニフォームを着ている人々を頻繁にみかけたりするなど、ASEANにおけるサッカー人気を実感します。
そんなASEANでのサッカーにおいて、日本の「Jリーグ」や「Jクラブ」が広く貢献していることを、みなさんはご存知でしょうか。

Jリーグでは、2012年に、タイプレミアリーグとのパートナーシップ協定を締結したことを皮切りに、アジア各国との連携を強化してきました。2017年8月現在、ASEAN内ではタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ラオスの8か国とパートナーシップ協定を締結しています。
このパートナーシップ協定により、相互のサッカーやリーグの発展に必要な情報の交換、Jリーグの運営ノウハウの提供、スタッフの派遣などを行うことで、関係国の競技力向上、アジアサッカーのレベルアップを図っています。

Jリーグにおけるベンチ入りや出場の人数に関するルールに「アジア枠」、「提携国枠」を取り入れたことや、「アルビレックス新潟シンガポール」がシンガポールSリーグへ参加した取り組みなどは、将来的にASEAN諸国の代表チームを日本の強力なライバルへと成長させるとともに、日本代表のレベルアップにつながるものと期待されます。

また、このような取り組みは競技面のみならず、他の面における良好な関係構築など、広がりをみせています。
2012年からJクラブのセレッソ大阪とタイのバンコク・グラスFCはクラブパートナーシップを締結し、サッカーの情報交換など相互協力を重ねながら信頼関係を築いていきました。そのような信頼関係が生まれた結果、2015年にセレッソ大阪はタイのビールメーカー「シンハービール」とトップパートナー契約を、セレッソ大阪のメインスポンサーであるヤンマー株式会社はバンコク・グラスFCとパートナーシップ契約を締結しました。セレッソ大阪のホームゲームイベントでは「シンハーガーデン」というシンハービールとタイ料理が楽しめるイベントも開催され、多くの人が日本でタイ文化に触れることができ、タイに興味を持つきっかけにもつながっています。

サッカーによって築かれた信頼関係が、結果的に日本とASEANを広く結んでいくことは、一サッカーファンとしては嬉しい限りです。
私もシンガポールでASEANの方達と一緒にサッカーをして、交流の輪を広げたいと思います。

(シンガポール事務所所長補佐 佐藤)