スマホで予約して公共バスに乗る!?

近年話題のシェアリングエコノミー。その形態の一つとして、海外でUberやGrabなどが提供するオンライン配車サービスをご存知の方は多いと思います。主にスマートフォン向けの専用アプリを通じてタクシー等を手配できるサービスは、東南アジア諸国の生活において欠かせないインフラとなりつつあります。諸事情を抱えてなかなか本格展開に至らない日本を尻目にサービス内容は日々進化しており、シンガポールでは乗用車のみならずバスをもアプリで配車する動きが出てきました。

Grabは昨年11月からシンガポール東北部の朝夕のピーク時以外は移動人口が少ない地区でGrabShuttle Plusというサービスを開始しました。専用アプリで予約後、5~10分で指定したバス停までバスが迎えに来てくれ、地区内の好きなバス停まで一律料金1.2ドル(約100円)で運送してくれるというものです。このような動きは民間企業にとどまりません。シンガポール政府も今年後半には複数地区の公共バスに同様のサービスを試験導入すると発表しています。

これらはリアルタイムのバス利用者の需要に基づいて、ルートと運行スケジュールを最適化しようとする試みです。待ち時間も短縮され、路線網に関係なく行きたいところに行けることからバス利用者の利便性向上にもつながるものです。

少子高齢化が進む中、バス事業の経営効率化と交通弱者対策の両立に頭を悩ませている自治体は参考にしてみてはいかがでしょうか。
 

(シンガポール事務所所長補佐 上玉利)