2018年1月8日から10日にかけて、山形県議会議員が日本産農水産物の販売状況調査等のためシンガポールを訪問しました。
シンガポール事務所では、訪問先への同行のほか、シンガポールやASEANの概要等のブリーフィングを行いました。
今回は、JR東日本が運営するJapan Rail Cafe、日本の食品を多く取り扱う高島屋、伊勢丹、ドンドンドンキ等の小売店で日本産農水産物の販売状況を視察したほか、全農インターナショナルを訪問しました。全農インターナショナルは食肉を中心に輸入卸をしているほか、昨年チャンギ空港に開設された日本産農畜産物販売店舗において、フルーツ、野菜、加工品の輸入と販売を行っています。特に生産者の立場から、シンガポール市場における日本産農水産物展開の課題についてお話を伺いました。
現在のシンガポールにおける日本産農水産物の課題は、なんといっても小売価格が高すぎることです。小売店に並ぶ商品の価格は、生産者価格のほぼ5倍以上まで高騰します。
これは、現在の流通システムに原因があると言われています。現地小売業者に販売を委託する「コンサイメント方式」をとるケースが多いため、卸の段階でリスクを考慮した高価格となってしまうのです。
日本産食品は品質の良さと価格の高さから富裕層向けというイメージがありますが、高級品のままでは売り上げが景気動向に左右されてしまいますし、裾野が狭くなってしまうため、新規参入の余地が十分あるとは言えません。しかし、シンガポールには日本食に関心が高い方が一定数存在すると言われています。もし、価格を下げることができれば、新たな購入者層を開拓でき、市場も拡大し、新規参入の余地ができてくると思われます。

また、日本では各地域が優れた農産物を生産しており、ともすれば海外でも国内産地間競争を行いがちです。しかしながら、都市国家であるシンガポールにおいては、「地方」という概念が存在しないこともあり、野菜や果物を購入する際、生産国は見ても生産地域を気にすることはあまりないと言われています。近年強力なライバルとなっている韓国は、国を挙げて農産物の販売促進に取り組んでいます。「韓国産」イチゴや「韓国産」シャインマスカットは、日本産よりも少し安く、しかし十分満足できる味として大変人気です。日本の地方自治体も、単独よりも広域連携を進め、不足している部分を互いに補いながら、農産物の海外展開を進めていく必要があります。
(東京都派遣 杉田所長補佐)
(鹿児島県いちき串木野市派遣 川﨑所長補佐)