2025年6月2日(火)、ホテルルポール麹町(東京)で海外経済セミナーを実施しました。今回も、東京での現地開催とオンライン開催を組み合わせたハイブリッド形式で実施し、現地・オンライン合わせて150名の自治体職員の方々にご参加いただきました。
このセミナーは、訪日誘客と海外販路開拓という二つの重要テーマについて、シンガポールでそれぞれの実務に携わっている方々を講師にお迎えして開催しました。また、今回は、日本政府観光局(JNTO)および日本貿易振興機構(JETRO)シンガポール事務所のご協力もいただき、それぞれの具体的な支援策等についても紹介いただきました。
また、これまで秋に実施してきましたが、今年度新たに国際業務を担当することになった自治体職員の方々、これまで長く自治体で国際業務に携わってきた方々両方の皆様の業務に役立つ内容のセミナーとなるよう、時期を早めて開催しました。
<プログラム>
13:00~13:05 | 開会挨拶 (一財)自治体国際化協会 南光院常務理事 |
13:05~13:45 | シンガポール市場のインバウンド最前線~地方誘客と高付加価値旅行の可能性~ Vivid Creations Pte. Ltd. Chief Marketing Officer 宮川 元希 様 |
13:45~14:15 | 訪日旅行の最新動向と東南アジア地域における出展事業 日本政府観光局(JNTO)海外プロモーション部東南アジアグループ マネージャー 山本 祐輔 様 |
14:30~15:15 | ASEAN消費マーケットの捉え方と海外販路開拓につながる事業者支援のあり方 LINK&SUPPORT Consulting Services Pte. Ltd. Managing Director 大塚 嘉一 様 |
15:15~15:45 | ジェトロを活用した地元企業の海外展開支援について 日本貿易振興機構(JETRO)シンガポール事務所 青沼 秀人 様 |
15:45~15:50 | 閉会挨拶 (一財)自治体国際化協会シンガポール事務所 髙野所長 |
15:50~16:40 | 名刺交換会 |
東南アジア・シンガポールの旅行客の地方への誘客と高付加価値旅行に向けた取り組みについて、Vivid Creations Pte. Ltd.の宮川元希様にお話しいただきました。
東南アジアからの訪日旅行者は、東アジアや欧米豪・中東などからの訪日客に比べてリピーター率が高く、滞在日数が長いこと、特にシンガポールからの訪日客は、アジア主要国内で1人あたり旅行支出額が最も高いことなどが紹介されました。その上で、シンガポールからの訪日客をどのように地方へ送客するか、どのように発信するのが効果的かなどについて、具体的なツアーの例を挙げてお話しいただきました。参加者からは、「実際にどのようなツアーが多いのか」というご質問や「本日の講演を実際のツアー作りに活かしたい」といったご意見をいただきました。
宮川様に続いて、日本政府観光局(JNTO)の山本祐輔様にお話しいただきました。「なぜインバウンド誘致が必要なのか」について、改めてその理由を具体的に解説していただき、さらに近年の訪日外客数の動向、特に東南アジア各国からの旅客数の推移などについてもお話しいただきました。同じ東南アジア地域でも、国ごとの旅行シーズンや旅行支出額などの事情が違うことについて分かりやすくお話しいただきました。また、2025年度に東南アジア・インド各国で予定されているJNTO主催の旅行博などの出展事業のご紹介をいただきました。参加者からは、「注目している国からの誘客についてどのような事業に出展するのが効果的かとても勉強になった」などのご意見をいただきました。


後半は、海外販路開拓に関する講演を実施しました。
LINK&SUPPORT Consulting Services Pte. Ltd.の大塚嘉一様に、ASEANの消費マーケットの現状や実際のアプローチ手法などについてお話しいただきました。長年、シンガポールで日本の事業者や自治体をサポートされてきたご経験をもとに、自治体が事業者支援を行う際のポイントについても分かりやすくご説明いただきました。参加者からは、「どのようにしてシンガポールのディストリビューターを探せるかなど詳しくお話しいただき、非常に参考になった」とのご意見をいただきました。
最後に、日本貿易振興機構(JETRO)シンガポール事務所の青沼秀人様よりご講演いただきました。近年JETROシンガポールに寄せられる貿易相談について、中小企業からの相談の割合が年々増加していること、その中から、コロナ収束後の事業拡大意欲が見えることなどをご講演いただきました。また、JETROシンガポールが昨年9月に新設した「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム」をご紹介いただき、どのような支援メニューなのか、実際どのように活用できるのか、事例を交えてご説明いただきました。参加者からは、「日本のどのような商品がシンガポールで求められているか」などの質問があり、全国の自治体職員の関心の高さがうかがえました。


講演終了後、会場参加者が講師への個別質問や今後の相談、参加者同士で情報交換をすることができる場として名刺交換会を実施しました。長丁場のセミナー後にもかかわらず、多くの方々にご参加いただき、各講師や他の自治体職員との新たなネットワークづくりにつながる有意義な時間となったようです。
今回のセミナーには、現地43名、オンライン107名の自治体職員にご参加いただきました。セミナー終了後に実施したアンケートでは、シンガポールの他、ベトナム、インドなど、自治体によってさまざまな国に関心があることも分かりました。シンガポールに駐在しているメリットを十分に活かして、今後も自治体職員の皆様のニーズに合った各国の情報を発信してまいりますので、ご活用いただければ幸いです。