インドネシア訪日旅行事情の最新動向~Japan Travel Fair 2018 Autumn & Winter~

クレアシンガポール事務所は、インドネシアのジャカルタで開催された、日本政府観光局(JNTO)主催の一般消費者向け旅行フェア「Japan Travel Fair 2018」に参加し、ビジット・ジャパン・カウンターにおいてJNTOジャカルタ事務所と連携した訪日観光PRを行いました。
今回の「Japan Travel Fair」は、日本の秋・冬をターゲットにした旅行フェアで、現地旅行会社による一般消費者向けの訪日旅行商品販売と、日本側出展者及びJNTOによる観光情報の発信が行われ、インドネシアの一般消費者向けにアピールする絶好の機会となりました。
当事務所職員が現場で見たインドネシアの訪日旅行市場の最新状況をレポートいたします。

1 「Japan Travel Fair 2018 Autumn & Winter」概要

主  催 日本政府観光局(JNTO)
概  要 インドネシアからの訪日旅行者をさらに増加させるため、ジャカルタ市内のショッピングモールにおいて旅行フェアを開催。
現地旅行会社が訪日旅行商品の販売を行うほか、日本の地方自治体等共同出展者が各地域の観光の魅力・情報を発信。
開催期間 2018年10月12日(金)~14日(日) 3日間
開催場所 コタ・カサブランカ・モール 1階
ジャカルタ南部に位置する富裕層・中間層向けのショッピングモール。
対  象 一般消費者(B to C)
入 場 料 無料
来場者数 速報待ち
※前回開催時は約51,000人(2017年度、3日間合計)
出展団体数 ○インドネシア側出展団体:銀行系1社、旅行会社21社、航空会社5社

○日本側出展団体:16団体
<うち自治体関係出展者7団体>
(公財)横浜観光コンベンション・ビューロー&神奈川県、松本観光コンベンション協会、静岡県東南アジア駐在員事務所、姫路市、関西美食ツーリズム推進協議会、岡山市、(一財)沖縄観光コンベンションビューロー

2 東南アジア諸国第2位の伸び率

インドネシアの訪日旅行者数は2017年に過去最高となる352,300人(前年比30%増)を記録、初めて大台の30万人を超えました。この伸び率は、東南アジア諸国でベトナム(前年同月比32.1%増)に次ぐ数字であり、今後も大きく伸びていくことが期待されます。
この背景には、経済成長による所得の増加や一定条件でのビザ免除といった理由のほかに、訪日旅行プロモーションによる東京・関西以外の観光地の知名度向上、格安航空会社(LCC)の日本発着便の増加、インセンティブツアー(報奨旅行)の増加が挙げられます。

【参考】インドネシアからの訪日旅客数の推移(出典:日本政府観光局(JNTO))

年 次 2014年 2015年 2016年 2017年
訪日外客数 158,739人 205,083人 271,014人 352,300人
前年同月比伸率 +16.0% +29.2% +32.1% +30.0%

※インドネシアの総人口:263,991,000人
(出典:United Nations「2017 Revision of World Population Prospects」)

3.インドネシア人訪日旅行者の関心

JNTOブースに来る方々の大半の目的地はゴールデンルートで、とりわけ大阪の情報を求める方が多くいました。ただし、たとえ航空券とJapan Rail Pass を購入してからJNTOブースに来ていても、具体的な行き先としてはっきり決まっているのはUSJぐらいであり、「どこに行くとおもしろいか?」という漠然とした質問をする方が多い傾向にありました。また、白川郷へのアクセス方法を求める方がたいへん多く、インドネシア人訪日旅行者の間で同地の認知度が一段と上がってきているものと思われます。
一方で、今回の旅行博ではハラル対応のレストランや礼拝所の有無に関する問い合わせはほとんどなく、お勧めの食事をよく尋ねられるシンガポールやタイなどの旅行博とは対照的であったことが伺えました。

【参考】人気の旅行先

順位 場所 特徴
1位 大阪 ユニバーサルスタジオジャパンの人気が高かった。
2位 岐阜 白川郷に関する問い合わせが多かった。中には年6回各回2時間のみ行われるライトアップが見たいという方もいた。
3位 静岡 東京から日帰りで富士山を見たいという方が多く、とりわけ新宿発のバスツアーが便利とのことで人気だった。
4位 京都 知名度が高い「京都」という地名はよく出てくるが、寺や神社に関心があるわけではなく、どこか特定の目的地があるわけではなかった。
5位 北海道 ゴールデンルートの定番。大阪・東京から飛行機を使ってでも札幌や函館などを訪問したいという方が多数いた。

4  今後の訪日旅行はどうなる?

昨年度のインドネシア人訪日旅行者数は過去最高の35万人と、順調に記録を更新していますが、2億6千万の総人口を考えると、今後もゴールデンルートを中心に訪日客を伸ばせるポテンシャルは充分にあると言えます。
一方で、ゴールデンルート以外の地域の認知度はほとんどと言って良いほどなく、地方の観光地においては、継続的なプロモーションによる知名度の向上が課題であると言えます。今回の旅行博で行われたアンケート結果によると、来場者の6割がクリスチャンだったそうですが、インドネシアの9割はムスリムであるため、これらムスリム層に日本の魅力をどう売り込むかが今後のカギとなると言えるでしょう。

当事務所では、引き続きJNTOと連携しながらインドネシアの訪日旅行に関する最新の動向を収集するとともに、情報発信に努めてまいります。

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