シンガポール国立図書館庁(National Library Board(NLB))によれば、シンガポールには31か所の図書館があるといいます。紙媒体の図書の貸し出し以外にも、日本と同じように自習室なども設置されており、勉強する学生達の姿もよく目にします。今回は、その図書館の中でも、2023年にオープンしたプンゴル地区の図書館について、独特なスペースの活用方法を紹介したいと思います。(参考1~2)
5階建てのプンゴル図書館ですが、4階のスペースの1画では、3Dプリンターやデジタルカッター等の技術をNLBの会員向けに提供する「MakeIT at Libraries」の取組が行われています。(参考3)NLBの資料によると、こちらのプログラムはプンゴルも含めて、4つの図書館で実施されています。著者がプンゴル地区での様子を視察した際、日本の図書館ではあまり目にしない3Dプリンターやミシンなどが多数設置されており、幅広い年齢層の方が利用しているのを見かけました。
同じく4階には、起業家やビジネスオーナーを志す人達に向けたスペースもあり、「Launch」という場所では専門家による講習やネットワーキングセッションなどが可能です。更には、コワーキングスペースとして座席やワーキングポッドも多数設置されています。(参考4)
また、子供向けの階層である2階には「Spark!Lab」というイノベーションや工作のためのスペースや、障害のある大人や子供たちがプライベートでも落ち着ける感覚体験が必要なときに利用できる「Calm Pod」という個室スペースも設置されています。(参考5)
このように最新のプンゴル図書館では、紙媒体の図書の貸出だけではなく、様々な用途で図書館内のスペースが有効に活用されています。
プンゴル図書館のほかにも、改修工事を経た中央図書館では海洋生物多様性をテーマとした子供向けの学習スペース設置などもあります。(参考6)
こうした工夫のためか、図書館は多くの利用者で賑わっています。
シンガポール事務所 所長補佐 藤井
(参考1)
https://www.nlb.gov.sg/main/visit-us/our-libraries-and-locations
(参考2)
https://www.channelnewsasia.com/singapore/punggol-regional-library-opens-first-two-floors-special-features-children-people-disabilities-3240716
(参考3)
https://www.nlb.gov.sg/main/services/MakeIT-at-Libraries
(参考4)
https://www.nlb.gov.sg/main/about-us/press-room-and-publications/media-releases/2023/PRL-Official-Launch
(参考5)
https://www.nlb.gov.sg/main/visit-us/our-libraries-and-locations/libraries/punggol-regional-library/library-services
(参考6)
https://www.straitstimes.com/singapore/central-public-library-reopens-sports-new-marine-biodiversity-space-for-children-and-generative-ai-storytelling