クレアでは、2022年2月14日(月)から18日(金)にかけて、フィリピンのバギオ市の依頼に基づき、自治体国際協力専門家派遣事業を実施しました。
当事業は、海外の自治体などの行政資質と技術力の向上、人材の育成に資するとともに、日本の地方自治体と海外の地方自治体との友好協力関係を強化するため、日本の自治体職員を現地に派遣し、講義や実技を通して日本の地方自治体が持つ行政のノウハウを伝えるものです。本来であれば実地で実施しますが、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、今回はオンラインの座学講義形式で実施しました。
フィリピンのルソン島北部にあり、首都マニラの北方約250㎞の山間地に位置するバギオ市では、「災害リスクの軽減及び管理計画」を策定していますが、同計画ではハザードマップ等の「気候及び災害リスク評価」に関する内容は作成しておらず、今後の作成の参考とするため、同自治体から災害管理分野に関する専門家の派遣要請があり、災害管理の専門家である大阪府職員を派遣しました。
今回の事業では、バギオ市災害リスク軽減管理局の職員等20名を対象に大阪府の治水対策等を紹介し、ハザードマップの具体的な作成方法や住民の防災意識啓発のための活用方法等も含めた講義を行いました。
(講義内容)
①総合治水対策
②想定を超えるリスクへの対処
③洪水ハザードマップ
④タイムライン
⑤防災意識啓発
今回の事業はオンラインの座学講義形式のため、現場視察や直接の助言ができない中での実施となりましたが、専門家の分かりやすく丁寧な講義により、参加者からは質問が相次ぎました。特に、大阪府の先進的な総合治水対策に係る質問が多く、バギオ市職員の高い防災意識を感じることができました。
今回の講義で紹介した「総合治水対策」、「ハザードマップ」、「タイムライン」等が導入され、バギオ市の災害管理が一層発展することを願っています。
クレアでは、アセアン各国及びインド・スリランカの自治体の要請を受けて、農業、環境、都市計画などの32分野で、日本の自治体から専門家の派遣を実施しています。当事業は海外の自治体への知識や技術の伝達だけではなく、日本の自治体にとってもアジア諸国との有意義な情報交換の場及び将来の交流のきっかけとなります。また、海外に対する自治体PRにもつながりますので、自治体の皆様におかれましては、今後とも当事業へのご協力をお願い申し上げます。