2018年10 月 15 日(月)から19 日(金)までにかけて、京都府の市町村職員が海外研修のため、シンガポールを訪れました。クレアシンガポールでは、この海外研修活動に同行し支援を行いましたので、その一部をご紹介します。
1 マリーナ・ベイ・サンズ
マリーナ・ベイ・サンズは、統合型リゾート(IR)として、カジノ以外にもホテルや大小250の会議室を含めた巨大なMICE施設、ショッピングモールや劇場などの多様な施設を兼ね備え、ビジネスマンからファミリー層まで幅広に需要を取り込むことで、シンガポールを代表する観光地の一つとして広く認知されています。
カジノにおいては、シンガポール国民の入場料は100ドル(約8,000円)に設定し(外国人は無料)、賭博の上限額や入場制限を個人ごとに設定することが可能であるなど、国と運営者とが協力して「責任あるギャンブル」に関する取り組みを進めているとのことです。
2 シンガポール人口及び人材部局
シンガポール人口及び人材部局は少子化対策を所管しており、シンガポールにおける少子化対策を中心にヒアリング・意見交換を行いました。シンガポールの2017年現在の出生率は1.16で日本(1.43)よりも低く、女性の高学歴化、社会進出による晩婚化が少子化に繋がっています。人口の8割が家を所有するシンガポールでは、夫婦として初めて公営住宅の購入を申し込む場合には優先権が与えられ、妊娠中であればその中でも高い優先順位が与えられるなどの施策が行われています。意見交換では、双方の具体的な少子化対策の内容・効果について質問が飛び交うなど、非常に活発な意見交換が行われました。
3 文化・コミュニティ・青年省
文化・コミュニティ・青年省は多民族、多文化、他宗教国家であるシンガポールにおける民族融和の政策分野を所掌しています。現在のシンガポールは1960年代の民族抗争を経て、民族間の平等の憲法保障・政教分離・実力主義・少数派の権利利益の保障が民族融和の柱となっています。2009年には移民をコミュニティの中に溶け込ませるための政策として融和のための事業を助成する基金(Community Integration Fund)が設立されました。これは一定の基準を充足している場合、事業費の80%又はS$200,000を上限に助成するというもので、これまでに300以上の団体に助成され、840以上のプロジェクトが実施されています。その他、シンガポールで実施されている各民族融和政策についての詳細な説明があり、今後日本でも多文化共生の重要性が増していくことが見込まれる中、学びのある訪問となりました。
4 シンガポールホテル協会
シンガポールホテル協会は1981年に設立されたシンガポールのホテル業界の団体です。シンガポール国内の160のホテルが一般会員で、一般会員のホテル客室数の合計はシンガポール国内のホテル客室数の85%を占めており、シンガポールのホテル業界の持続的な発展を目指し、業界研究、業界代表、マーケティングと広報、労働効率及び能力向上の推進など、様々な活動を行っています。具体的には、障害者雇用についての人事研修や、インドネシアの旅行代理店等旅行関連会社をシンガポールに招いての商談会の開催などを実施しています。参加者は現場目線からのシンガポールの観光の現状の話に聞き入っており、シンガポールホテル協会からも今後も日本の自治体との交流を深めたいとの発言があるなど、双方にとって有意義な訪問となりました。
5 JNTOシンガポール事務所
JNTOシンガポール事務所からは最近の訪日観光客の動向等について説明いただくとともに、
〇 シンガポール人は日本の歴史的なものにはあまり興味がないので、パンフレットの表紙に歴史的偉人の銅像の写真を使っても効果的ではなく、それよりもインスタ映えしそうな食べ物や観光地の写真を使用したほうが良い。
〇 90%が個人旅行のシンガポールでは、団体ツアーの割合は低く、旅行会社は様々な工夫を凝らしている。そこに自治体がタイアップする余地がある。
〇 シンガポール人は中国人に比べるとゆとりのある旅行を好む。ツアーでコンテンツを詰め込みすぎるのはよくない。
といった具体的なアドバイスがありました。
研修に参加された皆様は、今回の海外研修を通じて、日本国内では分からない様々な物事を自分たち自身で見聞きすることができ、多くの刺激を受けたようです。
当事務所では、訪問先のアドバイスやアポイントメントの取得といったサポートを行っていますので、お気軽にご相談ください。