1.『Food Japan 2018』について
今年で7回目となる日本食の総合見本市「Food Japan 2018」が10月25日(木)から27日(土)までの3日間、サンテック・シンガポール国際会議展示場で開催され、日本(30都道府県)、シンガポール、マレーシアなどから211社・団体が出展しました。
日本の自治体からは、千葉県、新潟県、京都府、山口県、沖縄県、兵庫県姫路市、山口県下関市、鹿児島県いちき串木野市などが出展し、初日から来場者との間で活発な商談が行われました。
クレアシンガポール事務所では、自治体の出展ブースにおいて運営支援を行いましたので、その様子を報告します。
2.自治体ブースの様子
(1)和牛と味噌のプロモーション(京都府)
今回、初出展となる京都府からは、主に『KYOTO BEEF 雅(みやび)』と『西京味噌』の新たな市場開拓を目指したPRを行いました。京都のブランド和牛は府内数ヶ所に点在しており、国内ではそれぞれのブランド名で販売されていますが、海外輸出時においては、全て『KYOTO BEEF 雅』の表記に統一することで効果的なプロモーションを展開しています。今回、紹介した京都和牛は、5年に1度の全国和牛コンテスト(全国和牛能力共進会)にて、昨年2位(1位は、鹿児島県黒牛)を受賞しました。肉の美味しさと大きく関係していると言われるオレイン酸の含有量が多く、試食をした多くの来場者の喉を唸らせていました。和牛への関心は、シンガポールだけでなく周辺国においても高いようで、各国のバイヤーから熱心に細かな取引条件を確認される場面が見受けられ、ASEANにおける和牛マーケットの可能性を感じました。
一方、西京味噌は、一般的には銀鱈に付け込んで調理されることで知られていますが、シンガポールをはじめASEAN各国でも手に入り易く、上質でより廉価なサーモンとの相性の良さを伝え、多くの消費者に広く味わってもらえるような工夫を凝らしたプロモーションが行われました。試食の列は途絶えることも少なく、極めて良い反響で、今後、シンガポールの飲食店でサーモンの西京焼きがお披露目される日も遠くはないのではないかという印象を受けました。
このように、国内での通常の展開にひと工夫加えることで、海外において受け入れられる可能性が生まれるということを改めて感じた展示会でした。
(2)日本酒と酒文化のプロモーション(兵庫県姫路市)
兵庫県姫路市は、「はりま酒文化ツーリズム協議会」との共同ブースを出展しました。
地方創生事業「酒米の王様・山田錦を擁する日本酒のふるさとはりまプロジェクト」の一環として、播磨4酒造組合(姫路酒造組合、加古川酒造組合、明石酒造組合、社酒造組合)管内から公募を実施。壺坂酒造、本田商店、田中酒造場、名城酒造、ヤヱガキ酒造、灘菊酒造、奥藤商事が試飲・販売などを通じてシンガポールと周辺国のバイヤー・シェフ等との商談を実施しました。
また、来星した姫路市連携中枢都市推進室の職員は、酒蔵、山田錦の田園、食、文化財など、日本酒を取り巻く環境をテーマとした広域観光「はりま酒文化ツーリズム」のPRも行いました。世界遺産である姫路城の魅力と相まって旅行先としての地域の魅力を効果的に発信出来たようです。
来場者からは、播磨が山田錦の主産地であること、ワインの「テロワール」にように同じ山田錦でも地区ごとに微妙に異なること、山田錦がありながら近年更に新しい酒米が開発されている背景等に関心が寄せられ、各出展者は手応えを感じていました。
(3)水産加工品と日本酒をPR(山口県)
山口県としては、昨年に引き続き4回目の出展で、県内から5事業者が来星しました。
山口県内の酒造業者24社で構成された「山口県酒造組合」では、県内の日本酒やリキュールのPRを行いました。シンガポールでは、すでに多くの日本酒が流通していますが、独自の製法や原材料へのこだわりなど、現在流通している商品との違いを説明することで、来場者の興味を引くことができました。
また、新鮮な魚を使って干物やフライを生産している株式会社魚健では、ブース内でアジのフライやいかの一夜干しを調理し、試食してもらうことでおいしさを味わっていただき、実際に商談に繋がりそうな案件もいくつかありました。
いずれの事業者もこのたびの出展を通じて、今後の海外展開に向けてのヒントを掴んで帰られたことは大きな財産になると思われます。