ミャンマーの「今」

クレアシンガポール事務所の職員が、2018(平成30)年6月11日(月)~14日(木)にミャンマーのヤンゴン及びネピドーを訪問し、日系機関等からの情報収集を行いましたので、その概要を報告します。

1.ミャンマーの現状

ミャンマーは、面積が67万6,578㎢(日本の1.8倍)、人口が約5,148万人の国です。

経済成長率は7~8%台を誇っていたここ数年と比較するとやや落ちついているものの、現在でも6%台を維持しており、経済成長について当面の心配はないという見方がされているようです。1人当たり名目GDP(2016年)はまだ1,269ドルと低いものの、今後も引き続き高成長が見込まれるため、今が進出の大きなチャンスといえます。なお、2017年度の外国直接投資の認可件数は222件で過去最高となっています。

また、今年3月にウィン・ミン前下院議長が新大統領に就任しましたが、前大統領政権と比較して大きな変化は今のところ無いようです。しかし、ミャンマーではいわゆる「根回し」が非常に重視されており、日系企業等の進出に必要な申請に係る内部決裁に時間がかかることも進出の阻害要因の一つになっていたところ、新大統領は専決的に意思決定を行う傾向にあるようです。今後は各種許認可等に要する時間が短くなり、進出しやすい市場になることが期待されます。

(参考)ミャンマーの概要

面積 676,578㎢
人口(2016年) 約5,148万人
GDP成長率(2016年) 6.3%
1人当たり名目GDP(2016年) 1,269ドル
物価上昇率(2016年) 6.96%

出典(JETROホームページ)

2.外資による輸入販売業の規制緩和

2018年5月、ミャンマーでは卸・小売分野で100%外資による投資を認める通達が出され、条件付ながら100%外資による輸入販売が可能になりました。条件は初期投資額であり、外資出資比率に応じて初期投資金額の最低金額が規定されています。下表から読み取れるように、現在は事実上大型投資だけ認めている状況ですが、規制自体が緩和されたことは、これまでローカル企業保護のため外資企業による輸入販売業を原則禁止していたミャンマーにとって大きな一歩といえます。

ミャンマーは人件費が比較的安い水準であるため、近年ではタイと生産分業を行う「タイプラスワン」の進出先として注目されていますが、今後は製造業だけでなく卸・小売業も進出分野の選択肢として期待されます。

JETROホームページより

https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/05/4668dc4403ea4ef0.html

3.ミャンマーの日本式人材育成

今回、ミャンマー日本人材開発センター(MJC)ヤンゴン事務所を訪問しました。MJCは日本のODAの一環で、JICA、ミャンマー商業省、ミャンマー商工会議所連合会が共同設立した人材育成支援を目的とする組織です。ミャンマーでは中間管理職の人材が不足しており、今後見込まれる外国との競争に対応できる人材を育成するため、ミャンマー人経営者等に日本式経営を指導しています。

研修の受講者数は2017年が3,600人であり、2013年の734人と比較するとかなり伸びてきています。MJCで学んだ企業経営者達は、日系企業が今後ミャンマーに進出する際の良きパートナーとなることが期待されます。

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