クレアシンガポール事務所は2017年12月21日に開催されたクアラルンプールの現地旅行会社向け訪日セミナーに参加し、観光地だけのほか食事や物産を含め幅広く地方の魅力を発信してきましたので、報告します。
今回の訪日セミナーでは、シルクエアー社によるシンガポール・広島間の直行便が定期就航し、これから新たな旅行先として期待される山陰・山陽エリアの紹介を行いました。また、クレアシンガポール事務所以外に石川県、岐阜県からも参加し、それぞれの地域を紹介したほか、JR西日本シンガポール事務所も参加し、それぞれの地域をつなぐ交通手段の紹介も行いました。
JNTOクアラルンプール事務所の調査結果によると、2016年は過去最高の約40万人のマレーシア人が訪日しましたが、北海道、関東、関西への人気が高く、そのほかの地域の認知度は残念ながら高くないようです。また、マレーシア人が訪日旅行と比較検討するのは、ヨーロッパへの旅行で、費用的にはおおよそ同じくらいのため、日本としては手強い競争相手です。ヨーロッパへ旅行する場合、複数国を訪問することができるためお得感があるようです。それを上回るだけの魅力として、日本でしか味わえない文化、体験などをアピールする必要がありそうです。
まずクレアシンガポール事務所から、山陰・山陽地方、続いて石川県及び岐阜県からそれぞれプレゼンテーションを行いました。当事務所のプレゼンターは中国地方出身者ということもあり、これまで身近に接してきた地域の紹介を行うことができる貴重な機会となりました。当初は、自分たちが紹介したい場所や文化などが、必ずしも外国人にとって興味をもつものかどうか分からないという不安はありました。しかし、美しい景色などのスライドでは多くの参加者が写真を撮るなど大変興味を示し、山陰・山陽地域にも興味をひく観光資源が十分そろっていると感じました。その後、JR西日本シンガポール事務所から各地域を広域で周遊するためのモデルコースやJRパスについての説明を行いました。今回の参加者が旅行会社の方だったので、我々の観光地の紹介だけでなく、そこへ行くための交通手段にも関心が高く、多くの参加者からJRパスの金額や購入先などの質問が出ていました。
それぞれの地域を地元出身者が中心になって紹介するという今回の試みは、プレゼンター自身にとってもどの観光資源を紹介することが効果的かを考えるよい機会になりました。特に山陰・山陽地方は、まだまだ認知度が低いため、他の地域でも見ることのできる城や日本庭園に加え、この地域ならではの何かに磨きをかけた上で発信していく必要があると強く感じました。また、初めて日本を訪れる観光客は東京や京都などを中心に訪問する傾向にあるので、訪日旅行のリピーターに対し、地方ならではの魅力をアピールすることで観光客の増加を図っていくべきだと考えます。幸い、多くのマレーシア人も訪日する際に、一旦シンガポールを経由することはあまり苦にならない(もしくはあえてチャンギ空港から訪日される人もいる)ようですので、シンガポール・広島間の直行便が就航したこの機をとらえた積極的なアピールは山陰・山陽地方の認知度をあげるチャンスです。
シンガポールからの訪日客の増加を目指す場合は、ぜひシンガポールだけでなく、マレーシア等周辺国市場のことも考慮に入れたアピールをお勧めします!