2016年12月20日(火)から12月23日(金)まで、大阪市会からの依頼により、シンガポールの「シンガポール教育省」、「シンガポール国立教育施設」、「サンテックシンガポール」、マレーシアの「ジョホール州教育局」、「イスカンダル開発公社」、「フェアヴュー・インターナショナルスクール・ジョホールバル」の視察に同行しました。
各訪問先で得られた情報の概要は次のとおりです。
1 シンガポール教育省(Ministry of Education)
・2016年の教育費の予算は、128億シンガポールドル(約1兆円)で予算全体の約17パーセントを占める。
・シンガポールには学校が366校あり、33,000人の教員、480,000人の生徒がいる。
・同省では、「人材の育成により経済を支えること」と「子どもの可能性を引き出すこと」の2点を大きな目的としている。
・教育は生涯必要であり、技術は重要なものであるという考え方のもと、学生、社会人にかかわらず、シンガポール人の能力開発支援のため一人当たり年間約4万円を補助するスキルズフューチャー基金を設けている。
・設備の面では、2017年までに国内のすべての学校へのワイヤレスインターネット環境の整備を目標としている。
2 シンガポール国立教育施設(National Institute of Education)
・同施設は、シンガポール唯一の教員養成機関である。
・同施設の主な役割は、「教員になるための育成を行うこと」「教員の能力開発を行うこと」「教育に関する調査を行うこと」「コンサルタント業務を行うこと」である。
・同施設でのプログラムは、①教員になるための準備を目的としたコース、②教員のスキルアップを目的としたコースの大きく2つに分けられる。
3 ジョホール州教育局(Johor Education Department)
・マレーシアの教育政策は、コミュニケーション(communication)、クリエイティビティ(creativity)、コラボレーション(collaboration)、クリティカルシンキング (critical thinking)の4Cを柱とし、生徒の創造性に重きを置いている。
・マレーシアでは、小学校は6~11歳の6年間、中学校は12~14歳の3年間、高校は15~16歳の2年間のシステムとなっている。
・マレーシア教育省は、16州に16の教育局を設置しており、さらにジョホール州には11ヶ所の支所を設置している。
・同州には小中学校合わせて1,179校あり、教員は49,309人、生徒は592,749人いる。
・小学校卒業試験と中学校卒業試験では、学業だけでなく課外活動も評価される。
・教員の給与は、医者などに次ぎ高い水準である。
4 イスカンダル開発公社(Iskandar Regional Development Authority)
・イスカンダル開発公社は、マレーシア政府による都市開発プロジェクト「イスカンダル開発計画」に基づき開発を進めており、その中で教育開発地域「EduCity」の開発も進めている。
・この地域では、アジアの教育ハブを目指し、アジアの優れた人材を輩出することを目標としている。
・この地域で働く教授には、10年間の所得税免除など優遇措置が設けられている。
5 フェアヴュー・インターナショナルスクール・ジョホールバル(FAIRVIEW INTERNATIONAL SCHOOL JOHOR)
・同校は1978年に設立され、現在マレーシアに5キャンパス設置され、生徒は55ヶ国から約3,000人通学している。
・同校では国際バカロレア(国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラム)を実施している。
・同校は、世界で初めて国際バカロレア教員養成校として認定された。
・教員については、教員が1人で悩まないよう5人組を作って教員同士が教え合う体制を導入している。
6 サンテックシンガポール(Suntec Singapore)
・サンテックシンガポールは、総面積42,000平方キロメートルを誇るコンベンション施設である。
・正社員数は、約200人である。
・稼働率は、年65~75%である。
・マリーナベイサンズと比較するとカジノがないため、医療関係の会議などの開催が多い。
・大統領や大臣などの会議のみに使用できる特別な会議室も設置されている。
7 クレア発信の情報にご注目ください
このようにクレアシンガポール事務所では、視察先に同行しそこで得られた最新情報を発信していますので、今後もクレア発信の情報にご注目ください。
(佐々木所長補佐 札幌市派遣)
(梅澤所長補佐 長崎市派遣)
(朽網所長補佐 埼玉県派遣)