2025年7月6日、クレアシンガポール事務所は、所管国のJETAA(元JETプログラム参加者の会)各支部メンバーらが一堂に会するJETAA合同会議を開催しました。
今年度は、シンガポール、インド、インドネシア、フィリピン、ベトナムのJETAA支部メンバーおよびマレーシアのJET経験者、計14名がシンガポールにて現地参加しました。昨年度に続き、現地とオンラインを併用したハイブリッド形式で実施され、現地参加が難しかったJETAA支部メンバーやミャンマーのJET経験者、大使館職員等がオンラインで参加し、クレア職員を含めた総勢38人が会議に出席しました。
会議では、参加者の自己紹介に続き、各支部から活動報告および今後の活動予定についてのプレゼンテーションが行われました。今年は、事前アンケートで関心の高かった「JET経験者のキャリア支援」に焦点を当て、各支部から具体的な取り組みが紹介されました。その後の質疑応答では、活発な意見交換が行われました。
シンガポール支部からは、キャリア支援の一環として、7月9日に日系人材派遣会社の担当者を招いたオンラインセミナーを開催予定であること、また7月26日の出発前オリエンテーションでは、先輩JETが日本の教育現場や指導法について具体的なアドバイスを行う予定であることが紹介されました。さらに、赴任前からJET経験者との交流を促進し、帰国後も継続的なネットワークを構築できるよう取り組んでいることも報告されました。
インド支部からは、昨年度に実施した日本文化紹介イベント「OHAYO JAPAN」の実績や、若年層のアニメ人気を活用した新たなイベント企画について紹介がありました。広大な国土ゆえに対面イベントが難しい中、年間4回のオンラインイベントを実施したことや、少人数・年齢層の偏りという課題に対し、グリーティングカードの送付や定期的な連絡によって参加促進を図っていることが共有されました。
インドネシア支部からは、スラバヤ日本領事館主催の「ハバタケ祭り」への参加や、プロのピアニカ奏者によるコンサート開催などが報告されました。今後は日本語講座を通じたキャリア支援にも取り組む予定であることが紹介され、海外在住のOB・OGが多く限られたメンバーで活動している現状も共有されました。
フィリピン支部からは、現地の公立小学校で実施した日本語や折り紙・おにぎりづくりを教えるワークショップ、SNSを活用したキャリア支援、大学との連携によるJETプログラム広報活動などが紹介されました。また、日本に滞在しているOBの多さや、フィリピン国内でのJETAA活動に必要な法的登録の課題、都市部に活動が偏りがちな点など、支部運営における課題についても言及がありました。
一昨年設立されたベトナム支部からは、月1回のオンラインミーティングを通じたメンバー間の情報共有や、Facebookを活用したJETプログラムの周知活動、現役JETとのオンライン交流の実施が紹介されました。また、CIR・ALT経験を活かせる就職先が限られる中で、先輩の経験談をもとにキャリア支援を行うことの重要性が強調されました。今後はスポンサーの獲得やハイブリッド形式のイベント推進にも注力していく方針が示されました。
マレーシアのOBからは、JET経験者は全員がCIRであり(主に鹿児島県日置市に派遣)、人数が少ないため支部設立には至っていないものの、今年から在マレーシア日本大使館の支援のもと、WhatsAppグループでの情報共有が継続されていることが紹介され、今後の活動への意欲が示されました。
ミャンマーのOGからは、JET経験者は少人数ながら、在ミャンマー日本大使館と連携し、JET経験者によるミーティングを開催予定であることが報告されました。今後も小規模ながら持続可能な活動を目指していく姿勢が共有されました。
各支部からの報告後に行われた質疑応答では、大学におけるJETプログラムの広報活動の方法、文化紹介イベントのテーマ選定、会員のモチベーション維持策、拠点を持たない支部の運営方法など、具体的な課題とその対応について意見交換が行われました。特に、国や地域ごとの異なるキャリア志向や文化的背景を尊重しつつ、柔軟な発想で活動を展開する各支部の姿勢が印象的であり、今後のさらなる連携や相互支援の可能性が感じられる会議となりました。また、地域おこし協力隊へのJET経験者の応募条件が緩和されたことについての情報共有もあり、参加者は関心をもって耳を傾けていました。
会議終了後には、シンガポール市内のチャイナタウンを視察し、多文化共生の街並みを体感しました。情報共有や意見交換にとどまらず、参加者間の交流と関係構築を促進する有意義な機会となりました。
今後も各支部および参加国におけるJETAA活動がより一層活発になるよう、クレアシンガポール事務所として引き続き支援してまいります。

