9月6日(木)~8日(土)にかけてホーチミン市で行われた「International Travel Expo Ho Chi Minh City (ITE HCMC)」は今年で14回目を向かえ、ベトナム最大級の旅行関連イベントとなっています。今回、クレアシンガポール事務所では、ベトナムでどのくらい訪日旅行に関心が持たれているか、また日本の自治体からベトナム市場に対しての関心はどうか、といったことを現地に出向き視察してきました。
訪日ベトナム人数を月別でみると2012年1月から72ヶ月連続で各月の最高値を更新し続けており、2017年通年では初めて30万人を超え、過去最高を記録しました。また前年比伸び率でもASEAN最大の32.1%の増加となるなど、訪日の人気度は高まるばかりです。団体旅行の割合が高いベトナム市場では、特に現地旅行会社に向けた取組を強化したこと、各月それぞれの新たな観光コンテンツを、セミナーや商談会などで発信していることなどが、この結果へとつながっているようです。さらに人気歌手を「ビジットジャパン アンバサダー」に任命し、日本各地で撮影を行うなど、より一層の訪日ベトナム人数の増加を目指し、訪日需要の喚起と地方の認知度の向上を図っています。
3日間にわたって行われたITE HCMCでは、6日、7日は旅行会社等の企業向けで、一般消費者は8日(土)の一日のみの来場となっていましたが、開場前から多くの来場者が会場周辺に溢れており、その後も続々と来場者を乗せたバイクやタクシーが駐車場に入っていました。会場内はさらに活気で溢れており、ヨーロッパ、アジア各国やベトナム国内の地方など、様々な国の紹介や旅行商品が売られていました。今回ジャパンパビリオンといったものはありませんでしたが、日本からもJNTO、東京都、茨城県、名古屋市や関西地域等がブースを出展し、多くの来場者が新しい日本の情報を求めていました。
茨城県は、ベトナムとの関わりに非常に熱心で、これまでも観光PRだけでなく、農業技術の支援や技能実習生、留学生の受入など積極的に交流を深めています。こういった関わりを通じた国際交流は茨城県に住む方にとっても、世界に目を向けるきっかけとなり、加えてベトナムの方にも茨城を知ってもらう機会となるため、とても有意義なものだと感じました。
東京都では、東京のみをPRするのではなく、日本に来てもらうための玄関口として、東京からさらに地方に行ってもらうことを意識していると話されており、日本全体を盛り上げていこうとする姿勢が印象的でした。
関西地域は、関西全体の魅力を発信しようとしており、ブースには食や観光スポットの情報など、あらゆるニーズに応えることができるよう、様々なパンフレットが設置され、広域で情報を発信することの強みがみてとれました。
現在の急激な訪日ベトナム人数の伸びは、LCC(格安航空会社)の参入が要因の1つです。元々親日国であるため、国の発展に伴って今後も訪日ベトナム人数は確実に伸びていくはずです。日本の自治体の出展数がさらに増えれば、パビリオンなどを構えより効果的に日本をPRすることも期待できそうです。
これまでベトナムといえば、日系企業の進出先という印象が強かったかもしれませんが(もちろん今でもその面はあり、近年では日本の農産品などの売り込みも進んでいます)、ベトナムの人々が日本に来たいという潜在的な需要が徐々に顕在化してきており、地方にとってもインバウンドを促進するチャンスだと言えます。今後は、日本とベトナムの人やモノの往来がさらに進んでいくと思われますので、我々も注目し、情報発信を続けていきたいと思います。