クレアシンガポール事務所は、2025年2月19日(水)、タイ王国内務省地方自治振興局(Department of Local Administration)(以下「DLA」という。)と日本国総務省との共催で、日本・タイの地方自治体職員を対象に「DLA・CLAIR・MIC地方行政ジョイントオンラインセミナー」を開催しました。当セミナーは、日本及びのタイのベストプラクティスの取組を相互に紹介し、ASEAN諸国の課題解決のきっかけづくりの場となることを目的として実施しています。今年度はオンライン形式での開催となり、日タイの自治体関係者を中心に約580名の方々にご視聴いただきました。
今回のセミナーでは、「高齢者向けヘルスケアサービス」及び「地域における教育振興」の2テーマについて、日本の地方自治体とタイの地方自治体がそれぞれ先進事例の発表を行いました。「高齢者向けヘルスケアサービス」の取組については、三重県四日市市及びロッブリー県ムアンロッブリー郡カオプラガム町自治体から、「地域における教育振興」の取組については、岐阜県岐阜市及びチェンライ県チェンライ大規模市から講師をお招きし、それぞれの取組をご紹介いただきました。
はじめに、「高齢者向けヘルスケアサービス」というテーマに基づいて、日本側タイ側の順に講演が行われました。
三重県四日市市健康福祉部高齢福祉課の瀬古課付主幹からは、同市が取り組んでいる「地域包括ケアシステム」構築の取組として、行政と民間の連携構造や高齢者向けのサービスの内容等をご紹介いただきました。タイ側の視聴者からは、「地域のヘルスケアを支える仕組みの中で一番大切なものは何か」や「現在の取組の中で最も困難な事について知りたい」といった質問があり、タイの高齢者に対する取組への関心の高さが窺えました。
また、カオプラガム町自治体のパタリタ上級看護師からは、地域における医療の課題の説明や、これまでの取組の経緯、事業の内容についてご説明いただきました。長期在宅ケア、高齢者向けサービスの統合、生涯学習、世代間の交流など、高齢者にとって利用しやすい医療環境づくりや長く健康に過ごすことができる仕組みづくりなど、タイ側の医療事情に関する詳細な情報を提供していただきました。
続いて、「地域における教育振興」というテーマについて講演が行われました。
岐阜県岐阜市教育委員会事務局学校指導課の椿倉主査からは、岐阜市において2023年度から新しく発足した「ぎふMIRAI’S」の取組をご紹介いただきました。この取組は、市内のこどもたちの未来を考える力を育てるために、市教育委員会が独自に動画コンテンツを作成して市内の小中学生に一斉配信を行う等の画期的な内容で、視聴者からはインタビューする対象選びの方法等、動画づくりに関する具体的な質問が複数寄せられ、本取組に関する視聴者の興味や関心の高さを垣間見ることができました。
チェンライ大規模市のナロンサック副市長からは、市内においてユニークな取組を行っている8つの学校や支援センター、大学等の取組についてご紹介いただきました。中には高齢者を対象とした大学を地域主体で運営している事例もあり、日本側からはこの大学に関する質問が複数寄せられる場面もありました。また、同市と他国の市町村や学校等との連携など同市が積極的に取り入れている国際的な取組について紹介されました。
講師陣による事例紹介の後に、当事務所の上田所長補佐より「自治体の国際交流について」という題目で、当事務所の活動内容や、日本とタイにおける姉妹都市連携などを中心とした交流事例についての紹介を行いました。
今後もシンガポール事務所では、DLA等との連携を深めながら、日本とタイ双方の課題解決や地方自治体間の交流につながる事業を行ってまいります。
